大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

京都地方裁判所 昭和25年(行)13号 判決

原告 朴再順

被告 中京税務署長

一、主  文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、事  実

原告は、被告は原告に課税した昭和二十五年度酒税を原告の要求の額に修正せよ、訴訟費用は被告の負担とするとの判決を求め、その請求原因として、被告は昭和二十五年八月頃、原告の自宅における濁酒の密造を摘発してこれを京都地方檢察廳檢察官に告発し、更に同年十月末頃、原告に対し右密造酒に対する酒税として金四万一千三百円の賦課通知をした。而して被告の言うところによれば右課税は原告の製造石数を一石数斗と査定して賦課したものであるが、原告が製造した濁酒の量は五斗以下であり、且つそのアルコール分の度数は低いものであるから、被告が原告に対してなした前記賦課通知による課税額は不当である。よつてその修正を求めるため本訴請求に及んだと述べ、なお右賦課通知受領後本件訴提起前に国税徴收法第三十一條の二に定める再調査の請求はしなかつたと述べた。

被告指定代理人は主文第一項同旨の判決を求め、本案前の答弁として原告は国税徴收法第三十一條の二に定める再調査の請求をしていないから本件は訴訟要件を欠く不適法の訴として却下すべきであると述べた。

三、理  由

酒税は国税であるところ国税徴收法第三十一條の二は国税の賦課徴收に関する処分又は滯納処分に関し異議ある者は所得税法その他別に法律を以て定むるものゝ外当該処分にかゝる通知を受けた日より一ケ月以内に政令の定むるところにより不服の事由を記載したる書面を以て当該処分をなしたる税務署長に対し再調査の請求をなすことができると規定する。そして行政事件訴訟特例法第二條によれば行政廳の違法な処分の取消又は変更を求める訴はその処分に対し法令の規定による訴願審査の請求異議の申立その他行政廳に対する不服の申立のできる場合にはこれに対する裁決、決定その他の処分を経た後でなければこれを提起することができないのである。しかるに原告が酒税に関する課税額修正を請求する本件訴の提起前において右再調査の請求をしていないことはその自認するところであり再調査の請求をしなかつたことにつき正当な事由があるとは認められない。よつて本件訴は不適法として却下すべきものとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八十九條を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 平峯隆 加藤孝之 岸本五兵衞)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!